小説

『死にたがりの君に贈る物語』綾崎 隼




私は最終ページで泣いた。みんなはどうなんだろう。

これはオススメしていただいた本なので紙で読んだのですが、手触りが最高です。

以前、映画『舟を編む』で、主人公が辞書を作るにあたり、めくるときの感触が大事だといって紙の材質に拘っていたのを思い出しました。

表紙の絵もすごく素敵で、本って中身だけじゃなくて、表紙やタイトルのフォントも含めて作品だな、と思わされました。

小説の中で名作に触れるって、すごく難しいことだと思います。
自分で物語を書きながら、登場人物がどんな本を読んでどんなふうに感じるかを描いていくのがなんだか不思議な感じです。

小説家が小説家を描く、という視点も新鮮で、おもしろいです。

感情の生々しさがものすごく伝わってきて、怖いくらいでした。
途中、感情がぶつかり合うところでは怖すぎて、怖くないところまで読まないと寝れなくなってしまい、深夜3時まで読み続けました。

「死ぬこと」「生きること」について触れられている作品ですが、
なんのために生きているのかって、考えたことがない人はいないかな、と思います。

死にたがりの登場人物はそれを考えて、でもそうすると、これのために生きているというものがなくなった時に生きている意味がなくなってしまうんですよね。

だから、定義しないほうがいいと思います。

会議をする時に、その会議はなんのために行うのか、目的を設定するのはとても大事だと思います。
将来の夢を語る時に、なんのためにその夢を叶えたいのかを話すことも大事だと思います。

あなたはなんのために生きてるの?なんて誰も聞かないし
万が一聞かれたとして、そこで何か答えたところで聞いてきた人はそれを応援するような人間性は持ち合わせていません。

続けてもいい気分になることが100%ない。そんな不思議な会話が生まれます。

旅だって、目的はなくてよくて、ただ行きたいから行くだけ、で良いと思います。

なんのために旅に行くの?なんて聞く人はいくら真面目に答えても理解しようとはしないし、理解できる人そんな質問しないと思います。

目的があればOK、なければダメ、というのもいろんな考え方があるうちの一つの考えに過ぎなくて、自分が気にしている「周りの目」って、意外と自分のことなんて見てなかったりします。

どうしても、自分に生きている価値なんてないと思ってしまうなら、

明るく生きてるだけで人の役に立ってるよ!と言いたい。




 

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